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源氏物語
九葵
この御かへりおみづから聞えさせぬなどあり、大殿には、御ものゝけいたくおこりて、いみじうわづらひ給、この御いきすだま(○○○○○○)、こちゝおとゞの御霊などいふ物ありと聞給につけて、おぼしつゞくれば、身ひとつのうきなげきよりほかに、人おあしかれなど思ふ心もなけれど、物思ふにあくがなるたましいは、さもやあらんとおぼししらるゝこともあり、