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北条九代記

大炊渡軍附御所焼太刀東海道の先陣、相摸守時房は、六月〈○承久三年〉五日の辰の刻に、尾張国一の宮に著陣して、軍の手分おせられけり、東山道より押上る大将は、武田五郎父子八人お初として、その勢五万余騎、いづれも聞ゆる勇士どもなり、武田すでに本国お出る日は、十死一生とて(○○○○○○)、極めたる悪日(○○○○○○)なり、いかヾあるべき、隻明日、軍立し給へかしと申すものおほかりける、