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大猶院殿御実紀

完永二年十一月、この月〈○中略〉大僧正天海が願により、忍岡の地お賜はりて、伽藍お創建せしめらる、その旨趣は、むかし桓武天皇、平安城に定鼎のとき、伝教大師、皇城の鬼門叡山の霊地おいとなみ、帝都の鎮護として、千有余年、皇祚長久お祈り奉る事、いまにおいて怠らず、いまこれに準擬するに、忍岡は江城の鬼門たり、〈○中略〉援に七堂伽藍お経営し、国家安全、武運繁栄お祈らんとぞ聞えける、