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古今要覧稿
暦占
うけ、むけ、うけ、むけは、元五行家の説にして、たとへば木は申に受気し、酉に胎し、戌に養し、亥に生し、子に沐浴し、丑に冠帯し、寅に臨官し、卯に王し、辰に衰へ、巳に病ひし、午に死し、未に葬る、胎より王まで七気お、王相の気として、これお有気といひ、衰病以下お死没の気として、これお無気といふなり、〈五行大義〉これによれば、この事隋より前に、はや伝ふる所ありしならん、たゞしこれは一年十二月の際の事なれば、今いふごとく、七年、五年とつゞくにはあらざるなり、然るお土木は申酉戌亥子年月お有気とし、金は巳午未申酉お有気とし、火は寅卯辰巳午お有気とすと〈三才図会〉いふは、生より沐浴冠帯臨官王の五気のみおとれるなり、たゞしその事、一行禅師に出たりと〈同上〉いへば、唐よりはや五年七年といふことになりしならん、さてこの事、隋唐に露顕せしことなれば、皇朝にもふるく伝はりしなるべし、されども、仮名暦に書載ることは、貞享よりなりといへり、〈貞享暦法通、書、循環暦、〉然れば有卦無卦とかき、あるひは有暇無暇と書べし〈閑田耕筆〉などいふは誤なり、また(○)、うけ振舞(○○○○)とて、今世俗にすることも、大かた完永以前より有しことゝ見ゆれども、そのはじめさだかならず、又うけに入人は、名物のかしらに、ふ文字のつきたる七種お、そなふるなどいふこと、そのはじめいかなる故にや詳ならず、〈仏説に七福即生といふことあれば、有気七年の数に合せし祝事にても有べきにや、〉