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貞丈雑記
十六神仏
一物忌と雲事は、夢見悪きか、又は何ぞ怪き事有て、気に懸る事有時、陰陽師に占はすれば、是は大事の事也、幾日が間つゝしみ給へといふ時、其日数、他所へもゆかず、家内に引こもり居て、人にも逢はず、謹みて居る也、其間は、柳の木お三分計りに削りて、物忌と書附て、糸お附て、しのぶと雲草のくきにゆひ附て、冠にもさし、簾にもさし置也、白き紙お小く裁て、物忌と書く事もあり、しのぶ草の一名お、ことなし草とも雲故、用るなるべし、