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明徳記

抑十月〈○明徳二年〉十五日午の刻に、大地振おびたヾしくして、路次往反の輩も歩事おえず、家内安坐の人々も肝魂も消計也、援に陰陽頭土御門の三位有世(〇〇〇〇〇〇〇〇)、御所へ馳参て申けるこそ怖しけれ、今日の大地振は、金翅鳥動にして、慎み以外也、天文道(〇〇〇)の差す処は、世に逆臣出て、国務お望に依て、七十五日の内の大兵乱たるべし、但一日の内の落居なるべし、一旦は御難儀有と雲とも、始終は御吉事とぞ勘へ申ける、御所様お始進せて、諸大名近習の人々までも、何事にてか有らむずらむ、落居は御吉事なりとも、難儀の合戦出来りなば、誰身の大事と成、何なる不思儀か有らんずらんと、罪お慎み、身お顧て、恠み思はぬ人はなかりけり、