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天保十五年甲辰暦

伊勢度会郡山田 瀬川舎人今まで暦ち行れし完政暦は違へる事のあるおもて、更に改暦の命あり、遂に天保十三年新暦成に及び、詔して名お天保壬寅元暦と賜ふ、抑元文五年庚申、宝暦五年乙亥の暦にことわる如く、一昼夜お雲は、今暁九時お始とし、今夜九時お終とす、然れども是まで頒ち行れし暦には、毎月節気、中気、土用、日月食の時刻おいふもの、皆昼夜お平等して記すが故、其時刻、時の鐘とまゝ遅速の違あり、今改る所は、四時日夜の長短に随ひ、其時お量り記し、世俗に違ふ事なからしむ、今より後此例に従ふ、