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観古雑帖

天平勝宝八歳具注暦抄写〈紙背に書せるもの、此年九月十月写経生等食口の事記案也、其翻用の迅速なる、当世の風観つべし、〉 廿八日辛巳金除 歳位天恩、母倉、拝官、療病、治竈吉、 〈陰〉 乾 廿九日壬午木満 歳位天恩、母倉、斬草、葬吉、 〈膝脛〉 卅日癸未木満 〈立夏四月節〉 歳後天恩、九坎、厭、 〈足跌〉 四月大 天気西行 天道丁癸、月殺在辰、土府在寅、 甲庚 乾巽艮 時方 日徳在庚 人道乙辛、月破在亥、取庚土吉、 丙壬 坤癸丁 一日甲申水平 歳後宜忌治竈、解除吉、 二日乙酉水定 歳前小歳対、結婚、治竈、〈○下闕〉 三日丙戌土執 歳前小〈○下闕〉 四日丁亥土破 歳前小歳、療病、拝官、祭祀、解除服吉、〈○下闕〉 坎 五日戊子火危 歳前祭祀、結婚吉、 六日己丑火成 歳前帰忌、厭対、 七日庚寅木収 歳前母倉、往亡、治竈、種蒔吉、〈○中略〉本暦断簡、三月四日より、四月十八日に至て尽たれども、五月朔甲寅なることは、四月大にて推知べき也、此暦と、天平十八年と、廿一年と、三暦各断簡、東大寺正倉院文書中にあり、按、是官須の暦に非ず、写経所の書生校生等、私用伝写のもの歟、製作疎略、白紙に竹刀痕(へらすぢ)の白界也、今仮に墨界とするは、見やすきが為のみ、破傷は鼠咬也、界上に八卦中宮お配したるより、中下段の趣は、三暦相同じ、下界際に、身体手足等の肉〓お配記せるは、此暦のみ也、暦語の読解已下、古暦通考一篇お作て、史学の一助に供へんとして、稿粗成たれども、長文此に載すべからず、