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俗神道大意

伊勢暦の出処は、毎年祭主藤浪家より、朝廷へ御奏達あつて、土御門家の暦お、写本で申うけ、夫お伊勢で板行に致す事で、右暦師は宇治に居て、佐藤伊織と申すが実は町人で、紙屋茂兵衛と申して、これは藤浪家の御家来分で、御由緒もある家柄だと申す事で、外宮には暦屋五軒もある、猶も古来の暦は、口の所へ鯰の図などおかき、頭書に、伝暦抄などヽ書たるも有て、実は埒もないものであつた事ぢや、