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燕石雑志
五下
鐘声追考〈○中略〉中葉より仏説お甘じて、人々洪鐘お鋳て、これお寺門に懸もて、祖先の冥福お祈ること多かり、よりて世俗は、候鐘お僧坊にて執行する事とのみ思ふめり、凡都会の地、今江戸なる芝、石町、本所、市谷にて撞く鐘の如く、これお都城の四方に置て、候お遠近にしらし給ふ事は、天朝の古記録にいまだ見もかよはず、これも又有がたき事なるべし、