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東雅
七器用
漏刻慶長年中に、西洋人とけい(○○○)といふものおまいらせし事あり、其制に効製れるもの、今は盛に世に行はれぬ、とけいといふ事、蕃語にはあらず、其時の事しるせし日記には、斗鶏としるしたりけり、これは明の人して、蕃語お訳せしにて、まいらせし所也、其器の制、北斗の象のごとくなるものありて、其指す所に随ひて、其時おしり、鳴りて時お報ずる事、鶏のごとくなれば、かくは名づけし也、其器の妙おかたどりいひし事、たゞ二字に尽ぬ、今は其字おば用ひざるにや、