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漂客見聞録

無人島〈江〉漂流仕候後あめりか船〈江〉被助上候土佐国之者三人口書〈○中略〉一、万次郎義、外国逗留中、稼溜候銀銭お以、所々に而調物致し候は、全く不自由無之為に御座候得共、懐砲塩硝のひすとん弐、袖時計(○○○)買取候次第御尋請、〈○中略〉袂時計(○○○)の義は、日本〈江〉帰国の念相発、私日本土州出生之処抔には、所持致し候者覚不申、珍敷品に付、持帰り為見度、且又船中弁利之品に有之、ぬべつとほおる抔に而者、子供迄も所持致候間、私おあほに同船致し、乗合之内商ひ船方之宿より買取候義に御座候、