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大内義隆記
都督在世の間より、石見の国大田の郡には、銀山の出来つヽ、宝の山となりければ、異朝よりは、是お聞、唐土、天竺、高麗の船お数々渡しつヽ、天竺仁の送物、様々の其中に、十二時お司るに、夜る昼の長短おちがへず、響鐘の声と十三の琴の糸、ひかざるに五調子十二調子お吟ずると、老眼のあざやかにみゆる鏡のかげなれば、程遠けれども、くもりなき鏡も二面候へば、かヽる不思儀の重宝お、五さま送りけるとかや、