[p.0464]
雲萍雑志

ある人、時刻お知らん為にとて、自鳴鐘お求めんとするお、その妻是おとゞめていひけるは、明くれにかくる世話のみにあらず、くるひたる折(○○○○○○)からには、その隙お費し、自鳴鐘のために、かへりて時お失ふこと多からん、やめ給へといへば、さあらば庭鳥お飼ふべしといふに、その妻、又とゞめて雲けるは、時刻は人のうへにあり、夕の満干もこれとおなじかるべし、自鳴鐘、雞お便りとするは、勤めに怠るものゝいたすことなりと、夫お諫め、つひに雞おも飼ずなりにき、