毛利文書

百十三

〈裏書〉三小吉 謹筮 輝元公、はぎに城お可取立申吉凶之占、 遇 臨 之 比彖曰、臨剛、浸而長、説而順、剛中而応、大亨以正、天之道也、至于八月有凶、消不久也、象曰、沢上有地臨、君子以教思無窮、容保民無疆、彖曰、比吉也、輔也、下順従、原筮、元永貞無咎、以剛中也、不寧方来上下応也、後夫凶其道窮也、象曰、地上有水比、先王以建万国、親諸候、 慶長九年甲辰正月吉辰 前南禅前学校閑室叟勘之判判供卜筮 本命〈癸丑〉歳、某欲居於萩城、始終吉凶之卜、 宗廟 路 大門 宅中門 宅 宅基 奴婢 子孫 妻財 兄弟 宅母 宅長 地 井竈 門 為門 人 宅 玄武 白虎 騰蛇 勾陳 朱雀 青竜 〈丙寅水 丙子水 丙戌土 丁丑土 丁卯木 丁巳火〉 飛丁丑土 遇応世身 損伏丙申金 〈官鬼 妻財 兄弟 兄弟 官鬼 父母〉九二利貞、征凶、弗損益之、 象曰、九二利貞、中以為志也、上九弗損益之、無咎貞吉、利有攸往、得臣無家、 象曰、弗損益之、大得志也、 慶長九年〈甲辰〉三月十三日〈甲子〉 筠渓翁書 損卦納甲鑑雲、鑿石見玉之課、堀土為山之象、解雲、損者減省也、沢下山上損、兌沢而益、艮山、損下益上、占者遇之、在前見損、向後有益、冬占春吉、春占夏吉、夏占冬吉、而損益相因也、彖曰、山高即堕、木大則折、損在於己、益他為悦、去懲忿怒、窒除私欲、損之又損、斯乃為応、象曰、山沢損時須損己、益時返是益他人、盤桓度日長如酔、有悪来求且莫親、六甲子旬本宮旺吉、日六神断甲鬼合青竜勾陳世、十干詩断 望断浮雲事転虚、相逢陌上意皆殊、当時許我平生事、及到終時不似初、九二手、勿益方無損、交情戒妄求、居貞元自吉、懆進反生憂、上九大吉、恵而無所費、的損得其宜、人楽来帰己、安然福禄随、一日辰子逢世効、土之克無補、雖然生身木応木吉、上九為用効、一日辰子与世効、丑天地合、 戌卯同卦中是之一子日丑効動、持世皆吉、一青竜吉宅也 六効、土多則財物正、一効上第三効為正宅、勾陳臨則田園損、一内生外吉一勾陳持世如羅城、左共右揖、田心平地中住、四畔有山岡、正面前三上如狗伏、又主回塘辺住、損は、我身おばそんおして、人のために徳つく様にするなり、我身のためならば、少もよき様にせず、隻人の為およくする卦なり、然共上九のあたり処は、我身のそんもゆかぬ様にして、人の徳のつくごとくするなり、其はたとへば、海辺にすみつきたる者お、山の奥へやり、薪などとりつけたる者お海辺へやりなどすれば、何もその便おえず、薪とりおば山中へやり、漁人おば海辺へやり、それ〴〵のたよりおうるごとくにすれば、目かけにはなり、あながちに物おはやらね共、其人の徳はつくなり、是は恵而不費と孔子も被申候、如此之御心もちありて、彼処に御居住候はゞ、人民富貴あるべし、又陽剛のつよきむねお御もちあれば、いよ〳〵人付したがひて、他国の者までも可来候、得臣無家と申事は、遠近内外共に人帰服する事お申なり、九二のあたり処も吉なり、是は奥意なり、自然は如何体事出来候共、我分際お能まほりてみだりにすゝまざれば吉なり、