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式占とは、六壬、太乙、雷公、遁甲の四種の占卜の総称にして、皆式盤お用いるに由りて名づくる所なり、六壬占は、年月日時、及び行年方位の支干お推し、四課、十二将、十二神お弁じて占ふものなり、中古以来、太古既に絶え、易占漸く衰ふるや、陰陽寮は神祇官の亀卜と相並びて、専ら此占法お用いたり、太乙式、雷公式は、朝廷にのみ用いて、私家の私用お禁じ、犯すものは律に当てヽ処分するの例なり、而して太乙、雷公は、共に神の名なりとす、遁甲は、一に奇門と雲ふ、此法には、占術と隠形の術との二種あり、占術は、日時の干支、八卦、天文等の関係お推して、式盤上に現はれし所の卦に由りて、其吉凶お知るものなり、隠形の術は、日時の吉凶お占ひ、呪文、符籙等の力お藉り、禹歩の術お行ふ時は、魑魅魍魎見ること能はずして、害お加へ能はざる法なりと雲ふ、式神は、一に識神に作る、式占お掌る神にして、占者の頤使に従ふものなり、九星は、九星の順行お考へて、人の吉凶お占する法にして、亦式占の類なるべし、