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枕草子

宮〈○皇后定子〉にはじめてまいりたる比、物のはづかしき事かずしらず、〈○中略〉物など仰られて、我おばおもふやととはせ給ふ、御いらへに、いかにかはとけいするにあはせて、だいばん所のかたに、はなお高くひたれば、あな心う、そらごとするなりけり、よし〳〵とていらせ給ひぬ、いかでかそらごとにはあらん、よろしうだにおもひきこえさすべき事かは、はなこそはそらごとしけれとおぼゆ、〈○中略〉猶こればかりはけいしなおさせ給へ、しきの神(○○○○)も、おのづからいとかしこしとてまいらせてのちも、うたて折しもなどてさはたありけん、いとおかし、