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退閑雑記

相学てふものは、いにしへよりもある事にて、もと五行生剋よりして、ことわりつめたるものなり、かの水中のおもては水上の人、鏡中の人は鏡外の人にて、おのづからなる道理なり、すこし文字まなぶものは、ことにそしるぞかし、世の中にあるとある事、みな道理いちじるしき事はなきなり、かまへてその理お窮めんとすれば、無益の事にて労するなり、隻吉凶の相あらはるゝとも、敬怠の二字にけつすべし、