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水鏡
下淳仁
その大臣〈○恵美〉のむすめおはしき、色かたちめでたく、世にならぶ人なかりき、鑒真和尚の、此人千人のおとこにあひ給ふ相おはすとのたまはせしお、たゞうちあるほどの人にもおはせず、一二人のほどだにも、いかでかと思ひしに、ちゝの大臣うちとられし日、みかたのいくさ千人、こと〴〵くにこの人おおかしてき、相はおそろしき事にぞはべる、