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続古事談
五諸道
丹波守貞嗣、北山に詣、百寺の金鼓うちけるに、洞照といふ相人いふやう、君の顔色あしヽ、おそらくは鬼神の為におかされたる歟、貞嗣、心地たがふことなし、つねのごとしと雲ふ、洞照とくかへるべきよしお雲ほどに、貞嗣俄にたえ入て、よみがへりて家にかへりて、ものヽ気あらはれて雲く、別の事なし、われら遊つる前おとおりつれば、胸おふみたるなりとぞ雲ける、天狗のしわざなり、さて三日ありて死にけり、洞照が相、神の如し、