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徒然草

御随身秦重躬、北面の下野入道信願お落馬の相(○○○○)ある人なり、能々つゝしみ給へといひけるお、いとまことしからず思ひけるに、信願馬よりおちて死にゝけり、道に長じぬる一言、神のごとしと人思へり、さていかなる相ぞと、人のとひければ、きはめて桃じりにして、沛艾の馬おこのみしかば、此相おおほせ侍りき、いつかは申あやまりたるとぞいひける、