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閑窻自語

剣相家相事ちかき比、剣相といふこと、世にはやり、人のもたる刀おみて、貴賤貧富吉凶などの事おいふ、またそのうち家相とて、家のつくりかたおみて、同じく吉凶おのぶ、大かたにいひあつることもあれども、さのみたしかならず、ふるき書に剣お相すとあるは、剣の利鈍おみることなり、いまより剣のめきゝすといふにあたれり、家相のことは、異国にて三才図会、本朝にては吉日考秘伝などに、敷地のかたちにつき吉凶あり、あるは山にむかひ、水により、淵にのぞむのたぐひ、いはれあり、いまいふ家相にはことかはれり、いかゞや、又馬うしお相することは、ふるく沙汰あるやうなり、