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闇の曙

墨色、是も雑占なり、聖賢の法はなし、隻墨の清み濁る所お以て、それに因て吉凶おいふ、一文字おかゝせて見るも有、或は円おかゝせて吉凶お述る也、其法八卦お割付て、それに因て断るなり、又円にても、一にても、筆の始あしければ、病気なれば首の病ひといひ、筆の止りあしければ、痔の病ひ有といふ、童蒙の取扱ふ重宝記などにも、墨色の事有、学者の取あぐる事にもあらず、花押の墨色も、大概同様の事也、