[p.0620]
袖中抄

くめぢのはし〈○中略〉行者〈○役小角〉夜鬼神おめしつかひて、水おくみ薪おひろはしむ、したがはぬものなし、あまたの鬼神おめして、葛木の山と金の御峯とに橋おつくりわたせ、我かよふ道にせんといふ、神どもうれへなげゝ共まぬかれず、せめおほすれば、わびて大なる石八お運てつくりとゝのへてわたしはじむ、ひるはかたち見にくし、夜かくれてつくりわたさんといひてよるいそぎつくる、行者かつらぎの一言主の神おめしとりていはく、なにの恥あればか形おかくすべき、おほそはなつくりそといかりて、呪おもて神お縛て、谷の底におきつ、〈○中略〉続日本紀、霊異記、居士野仲廉撰日本国名僧伝等に見たり、