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源氏物語
四十一幻
神無月は、大かたもしぐれがちなる比、いとゞながめ給ひて、夕暮の空の気色なども、えもいはぬこゝろぼそさに、ふりしかどゝひとりごちおはす、雲いおわたる雁のつばさも、うらやましくまもられ給ふ、大空おかよふまぼろし夢にだに見えこぬ玉〈○紫上〉の行衛たづねよ、なにごとにつけても、まぎれずのみ月日にそへておぼさる、