[p.0652][p.0653]
奇魂

医薬濫觴
医道は、高皇産霊神、神皇産霊神に初て、伊奘諾命、伊奘冊命に伝り、大己貴神、少彦名神に定たり、かゝるお世人、大己貴命、少彦名命おのみ祖神と思奉は、書紀に〈神代巻〉に、夫大己貴命与少彦名命勠力一心、経営天下、復為顕見蒼生及畜産、則定其療病之方、又為攘鳥獣昆虫之災異、則定其禁厭之法、是以百姓至今咸蒙恩頼、〈頼字に続て、皆有効験と古語拾遺に有ぞよき、〉と有おみてのわざなれど、然二処ながら定と書たるにても、前より有来たる方法お、後に二神等撰論定たまひし故なるお悟るべし、かく国おさへ生ますばかり、いと畏き皇神等の、造ましゝ方法等の霊異なるに、今又二神の殊更に定ましたれば、飽ぬことなく備て、いかなる病も愈ざるはなく、いはんすべせんすべしらに、極ていとも〳〵霊妙なる方法なめれば、世人等閑にな思過しそ、