公事余録

二

一小石川御薬園養生所之儀、享保七寅年正月、糀町十二丁目三郎兵衛店、町医師小川笙船目論見書上之写、
養生所壁書
一御薬園御養生所へ参り候病人之儀、何れも下々之儀に候得共、危き療治無之様、随分念入療治可被成候事、
一病気之様子にも寄候得共、人参多く用に無之様に可被成候、万一多く遣ひ不申候而難成病気に候はゞ、養生所役人小川笙船等相談之上、用ひ候様可被成候、
一長病人或は穢敷病症に、退屈無之様に可被成候、然ども危き病人に相極候はゞ、無油断役人小川笙船相談之上、他之療治に替候様に可被成候事、
一病症に寄り、小川笙船に薬方之儀相尋候はゞ、書付御渡可被成候、其外之病人〈江〉御用ひ候薬も、入念候而、前広に書付笙船へ渡置候儀は勝手次第に候事、
月日〈○享保七年〉
同年〈○享保七年〉六月廿日、若年寄有馬兵庫頭殿へ差出候書付、
覚
一施薬院へ相詰候医師之内、小普請医師之内一人被仰付、毎日見廻り、病用之為罷越、病用相達候積り、且又小川笙船義、昼計見廻り、病人之介抱薬吟味可仕候、但見廻之義は、隔日又御用有之節は、毎日罷越、御用無之節は二日間にも見廻候様可仕候、
一同所へ町奉行与力二人附置、毎日壱人に而相詰、施薬院一式之差図仕、病人出入相改、総賄入用等、病人へ用ひ候人参之吟味迄世話仕候積り、
一町奉行同心拾人
内弐人年寄同心、是又賄方総元〆諸色払吟味役、内八人平同心、是は薬煎じ所并病人見廻り役、
右昼夜隔番に勤申候積り、
一下男八人、此下男抱に仕、賄所働き、門番人、其外病人看病火事之節は、足弱之病人に付添罷在可然奉存候事、
一女三人、是は女房人看病、又は洗濯物等之為召抱可申候、但当分は弐人抱、病人火多に相成候はば三人にも可仕候、
下げ札
一食焚〈当分壱人〉 一〈汁焚野菜〉拵之もの弐人 一水汲〈当分壱人〉 一小遣壱人 一〈病人薬煎〉当分弐人一門番壱人 都合八人