追加市中取締類集

九の四十六

養生出役御医師之儀に付、申上候書付、年番養生所病人療治方之儀に付、多紀安良より申上候書面、同所見廻与力〈江〉御渡、勘弁申上候書面共御下取調可申上旨被仰渡候に付、評議仕候趣左に申上候、
此儀、享保度、同所御取立之節は、藩医、町医共も出役被仰付候趣に御座候処、其後は、寄合小普請御医師之内より、出役被仰付、旧来相勤来候処、兼々医学館に而、養生所お進退之目論見有之由、去る丑年、小川竜仙院、外四人より、若年寄衆〈江〉申上候書面に、同所は、町方進退故、医術之工拙に不拘、出役申上候間、御医師不精之もの窩窟に相成居候旨、都而療治方之儀其外共、品々麁漏之趣お以、以来医学館之振合に取扱、同所世話役、同手伝之もの罷越、世話可仕、何事によらず、竜仙院、其外に而、御医師相談向引請、其上薬服之儀、医学館に而調合仕、膏薬目薬も、同所より製法仕、相廻可申、御薬料、医学館〈江〉御下有之候様仕度、猶竜仙院、楽真院も見廻可申旨、其外養生所旧来御極被置候御仕法等にも、議論お加〈江〉申上候書類、御下げ相成候間、其節養生所御医師、并同所見廻与力より、箇条逸々取調、医学館見込違之廉々等も申上、其趣意被仰上候間、同所より申上候筋貫き不申、願之趣、難被及御沙汰旨被仰渡候事之由に候得共、兎角夫迄之振合に而は、居り合兼候儀と相見、翌々卯年、御医師出役は御免町医師共、鳥居甲斐守殿、阿部遠江守殿御撰之上被仰上、出役被仰付、当時相勤居候儀に御座候、然る処、今度多紀安良より相願候は、養生所之病人は、医学館〈江〉願出候ものとは、証候各異候間、医学館に而修業仕、猶又養生所病人療治仕候はば、確に御用立候もの多分出来候は勿論、勤候場所も相増、一統之励にも罷成候旨之書面に候得共、左候而は、養生所お、医学館同様、御医師之稽古所に相用候様相聞、元来重御仁燐之御主意に齟齬可仕哉奉存候、〈○中略〉依之御下被成候書類返上、此段申上候、以上、
酉〈○嘉永二年〉十一月 村井団右衛門
仁杉八右衛門
養生所出役御医師之儀に付、申上候書付、市中取締懸養生所病人療治方の儀に付、多紀安良申上候書面、同所見廻并年番方〈江〉御下、夫々勘弁仕候趣、尚私共評議仕可申上旨被仰渡候に付、書類一覧仕候処、一体医学館に而、養生所お進退可致目論見有之、先年も小川竜仙院等より申上候次第も御座候得共、不被及御沙汰候や、近来町医御撰之上被仰付、出精相勤罷在、病人全快も数多御座候由之処、無故医学館より御医師出役仕候様相改候はゞ、町医ども気請にも拘り、左候迚、養生所見廻申上候通、御目見等可被仰付筋には有御座間鋪、尚又去卯年以前之振合に復候義、別段之御主意有之、追而被仰出候義は格別、今度安良申上候続お以、御医師之治療に復候義は、失体にも相当可申哉に付、安良願之趣は、新規之儀に付、不被及御沙汰、養生所之方は、是迄之通御居被置候積被仰上可然哉に奉存候、
右評議仕候趣、書面之通御座候、御下之書類返上、此段申上候、以上、
酉〈○嘉永二年〉十二月 東条八大夫
中村次郎八
中田新太郎
東条八太郎