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明良帯録
世職
奥医師( ○○○)
医業に達したる人お、奥医に撰挙す、法印に叙す、七十以上は紅裏お著用す、正月は家法の御薬お差上る、当時は医学館にて医道お修し、薬生は本草家澀江長伯にて糺す、日々伺公して御脈お診す、医は仁の術なれば、奥医といへども、軽きものに薬お与ふ、古橘の先祖は仕切場の物に薬お与ふ、御殿にて人々噂せり、橘聞て、仁術なれば不苦と答へられしお、享保の君〈○徳川吉宗〉聞し召給ひて、猶と上意有よし、