七十冊物類集

六十一外国

蝦夷地御雇医師( ○○○○○○○) 可被仰付者、差支有無相糺申上候書付、
樽藤左衛門
〈本草家町医師〉阿部将翁
右之者蝦夷地御雇医師〈江〉申上候而も、御差支無之哉、及御掛合候、
右箱館奉行衆より之御掛合書、被成御渡、取調可申上旨被仰渡候、
〈本石町壱町目藤三郎地借〉
〈本草家町医師〉 阿部将翁
〈辰五十二才〉
右之もの申立候は、此度蝦夷地御雇医師御用被仰付候とも、御差支無之様可仕心得に御座候、然る処去る子年中、御勘定奉行石河土佐守殿〈江〉、硝石御用之儀奉願、数度御調有之、其後水野筑後守殿〈江〉御引渡に相成、先達而被召出、御調之上、御請書差上候に付、近々納方可被仰付哉之由に付、夫夫手当仕居候間、右御用被仰付次第、忰米象〈江〉申委候上、門人共召連、蝦夷地〈江〉罷越、薬草金石お探索仕、五果菜蔬竹林等相仕立、土人之取捨候魚腸お以造り硝石相製、地利見計、塩浜等も取立申度存罷在候間、右硝石御用御下知済之上、彼地〈江〉発足仕度、此段奉願候段申立之候、且同人身元取調候処、去々寅年中より、右町に罷在間口弐間半、奥行四間之平家、自分建に住居仕、其身妻忰壱人、召仕男壱人、都合四人暮に而、此度蝦夷地御雇医師御用被仰付候而も、於町内聊差障筋無御座候段、右町役人共申立之候、
右相糺候処、前書之通御座候、則被成御渡候御掛合書返上仕、此段申上候、以上、
辰〈○安政三年〉五月 樽藤左衛門