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奇魂

医薬名義
外国の人に、病お治させ給しは、新羅より使に奉し金波鎮漢紀武と雲が、允恭天皇に薬お奉しぞ始也ける、されど後には宇多天皇の、京に唐人お入ることお禁たまひ、小松大臣の、漢医に病お治させざりし類も有き、其比は珍しとにもあらねど、二荒山の御神〈○徳川家康〉の三河国に在しゝ頃、癰お患給しに、当時支那より、医の来居たるに治させむと臣等の申しゝかども、御国の恥なりとて、痛く否て容易は許まさゞりしこそ尊けれ、