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本朝医談
東鑑建保二年二月己亥、将軍〈○源実朝〉聊御病悩、諸人奔走、但無殊御事、去夜御淵酔余気歟、援葉上僧正候御加持之処、聞此事、称良薬自本寺召進茶一盞、而相副一巻書令献之、所誉茶徳之書也、淵酔の余気に良薬とて茶お進るお見れば、茶の酒毒お解する事知るべし、一巻の書といふは、即喫茶養生記也、茶の功能お挙たれども、元来医家の書にあらざれば、もれたる主能もあり、大要おいへば茶は酒食の毒お解す物なり、酒食の毒のみならず、薬力おも解す、