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時還読我書

一商家の僕不良の事ありて、鞭苔せられ譴責お蒙りしお深く愧恥して、自尽せんと欲すれども術なく、 蚰蜒( なめくじり) おとりて烟草中にいれ吸たりしに、周身紫黒班お発し、腰腿猶甚く、前陰も黒腫して恰も馬陰の如く、痛特に甚し、予お延て診治せしむ、其脈沈大にして舌上黄胎あり、不大便にして飲食も減少せり、仍て黄連解毒加犀角大黄お与へしに、五六日にして班滅せり、前陰へは黒糖お塗しめしに、腫消し痛も去たり、 蚰蜒( ○○) はかヽる 毒( ○) あることいまだ知ざりし、