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橘黄年譜

余一日喜多村氏お訪ひ、佐渡相川医師滝浪玄伯に会す、其人の話に、金銀坑に入て毒に中りたるものお 山気( ○○) と名く、其証肺痿虚労に以て諸薬効なし、唯薩州方言 ぎち( ○○) と称するもの能これお治す、此品お伍して製したる煉薬お救工丹〈金銀お掘る者大工と名く、故に救工と雲〉と称す、後佐渡門人山田某より、ぎち一塊お贈る、之お有識に質すに雲、貝原花譜に土お弁ずる条、ぎち一名からうすつち、筑前にてからむすお作るに、子おば土の代りに用ゆ、子ば土黄堊に当れば、ぎちは白堊ならんと雲、