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宮川舎漫筆

切疵奇薬
何草にても、三品一所に揉て、其液お草の儘付る、即時に愈る事妙なり、但しひな草一種は除て、其余は何草にてもよろし、右は、我等普請せし折、大工の手伝、過て怪我せし処、この大工すぐ様草三品一所に揉、疵口へすり付候処、見る間に血とまり愈たり、此者いふ、我生れし田舎にては、切疵いかやうの深疵にても、この三品の草にて速かに愈るなり、何草にても宜しと、実に手軽の仕方故志るす、右の外にも種々の名薬あれども、其場にて用ゆる事ならず、薬種調合のうへの薬なれば、是売薬に類して、手重なれば略す、