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本朝医家古籍考
金瘡療治抄
此書一巻写本にて四天王寺文庫中にあり、相伝へて楠公自筆の本也と称せり、怪むべき様なしども奥書あり、如左、〈○中略〉
金瘡書に畠山氏之伝と称する物〈又吉益流とも称す〉世に多し、何の時に成りたるや詳ならざれども、何れ戦国の物と見ゆ、又上州富岡と雲へる所に、武田家〈信玄お称す〉金瘡と雲ふ物お蔵する人あり、甲櫃の中より取出したりと雲、此類も又まヽあり、又産前後金瘡の類お血の道の七気と称して、古くより一家の事と成りし、其治方お載せたる書まヽあり、多くは皆二三百年許のものなれども、猶古くより伝へしも有べし、