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叢桂亭医事小言

小児
小児医は昔より 唖科( ○○) と唱ふるは、病状お告ることなき故也、今は専門あれば、其経験多きことにて、予〈○原南陽〉が覚たるお以て、人に示さんこと思ひもよらねども、一二お語らん、夫小児には、疳と雲病お常病とす、是は甘お食て発する故に、疔に従て疳と雲は、正字通の説也、本邦にては、古より疳お忌て、児の初生には、必かに小紋と雲て、積雪草葉お染て、産衣にするは、疳お除くの縁による事、東門随筆に見えたり、かにと雲ことは疳と雲こと也、にとんとは同字にて、はねてよめと雲ために、におんと書きたり、〈○中略〉疳ばヽお、かにばヽと雲、かに小紋は疳小紋也、〈○下略〉