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続近世奇人伝

杉山撿校
杉山撿校は、近江浜松の人なり、十歳にして者となれり、元性豪爽にして凡ならず、眼は盲たりといへども、名お天下に成んことお欲し、十七歳の時鎌倉に至り、江島の岩屋に入て断食し、祈ること三七日、丹誠比類なし、されば満る夜の夢に、鍼と管とお得ると思ひて覚たるに、その物実に掌中にあり、いとかたじけなく、諸侯よりの招に応じて、病お愈こと志ば〳〵也、