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頓医抄
四十三
肝〈春三月木酢〉 心〈夏三月火苦〉 脾〈秋三月土甘〉 肺〈秋三月金辛〉 腎〈冬三月水鹹〉 心者陽、腎者陰、 一寸灸治( ○○○○) 、虚労に最上の灸也、いかに不食なるも、やがて食事の気でくる也、百会よりわらすびおうしろえおろして、亀尾に至りて切べし、そのわらすびお、喉の骨に、まん中おあてヽ、うしろへおろして、すべの端お中骨にあてヽ、点おさすべし、さて、手の高々指の中のきぐみ一寸お取て、右にても、左にても、病のある方に、一寸の寸法お横にあてヽ点おさす、是すなはち一寸灸の有所なり、左右おたヽきて見れば、ほた〳〵と鳴て、うつけたる様なる方に病ありと知て灸すべし、又我と本より病のある方お覚ることあらば、其方お灸すべし、百会よりのわらすび、つ子にはうなじのくぼき処へおしつくれども、此寸法にはすぐに引はりて点おさすなり、灸のこしらへ様は、厚紙のこぐち一寸お袋にして、艾おつきこみて、たけも一寸に切なり、彼灸点のまはりに、味噌おぬりて、其中へ、灸艾炷お入て、火お下すべき也、又なすびのかうの物お、二つに切て、灸の入ほど、穴おえりあけて、其中へ、灸艾炷お入て、すきあれば、味噌おぬりて、さて火お下す也、すべにて寸とる時は、男ならばもつといお解き、髪おわけて引くだすべし、此灸は、うつぶしに子てやくなり、灸艾のすつとくひ入まで置也、