[p.0907][p.0908]
梅園日記

灸幾壮
松蔭医談雲、灸一壮二壮といふは、壮人おもて準とする詞なりと、古人の注し侍るは、いかなる事ぞや、予是お考ふれば、炷壮字形の似たるより、いつしか写し誤るのみ、按ずるに、通俗編〈数目〉雲、後漢書注引華陀別伝、有灸此各七壮語、三余贅筆医家用艾、一灼謂之一壮、沈存中言、以壮人為法、其雲若干壮、壮人当依此数、老幼羸弱量力減之、按此説未是、周礼考工記〓氏雲、〈○中略〉読此則知、灼艾所雲壮者、亦候烟気節耳、〈○中略〉と見えたり、此説新奇なりといへども、是なりとも定がたし、沈存中の説は、夢渓筆談〈技芸篇〉に出たり、億説には非ず、千金方灸例に、凡言壮数者、若丁壮遇病病根深篤者、可倍多於方数、其人老小羸弱者可復減半とあるにもとづける也、