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源氏物語
五若紫
わらはやみに、わづらひ給て、よろづに まじなひ( ○○○○) 、かぢなどせさせ給へど、しるしなくて、あまたヽびおこり給ひければ、ある人、きた山になん、なにがしでらといふ所に、かしこきおこなひびと侍るこぞの夏も、よにおこりて、人々まじなひわづらひしお、やがてとヾむるたぐひあまた侍き、しヽこらかしつる時は、うたて侍るお、とくこそ心みさせ給はめなど聞ゆれば、めしにつかはしたるにおいかヾまりて、むろのとにもまかでずと申たれば、いかヾはせん、しのびてものせんとの給て、御ともに、むつまじき四五人ばかりして、まだ嘵におはす、やヽふかういる所なりけり、