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春波楼筆記
吾日本、開避近し、故に人慮の薄き事、此の一事お以て知るべし、医宗金鑑及西洋の書中に載する処、種痘の法あり、此の法お用ふる時は、死する事なく、面部に痕なく、難症なし、流行に伝染する時は、毒多き者は死す、然りと雖も生得、重毒ある者あり、必二たびす、種痘お以て其毒お減ず、減ぜざれば流行に感じて必死症なり、又虚薄の生あり、痘おうヽべからず、余〈○司馬江漢〉が親族小児あり、此の法お伝ふるに、更にうけがはず、如何と雲ふに、病お求むるに近し、一時其の難おのがれん事お、愚と雲ふべし、意に種う、即軽し、