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槐記続編
享保十六年五月十日参候、滋井入道殿参られ、御前にて、〈拙え〉仰られけるは、医書に、鉤脈と雲事ある由、脈状病形いかやうなるものにやと、〈拙〉答て申し上ぐ、弦鉤毛石は、四時の定脈にして病脈に非ず、鉤は夏の平脈にして前曲り、後直く、帯鉤おとる如くとこそ申せと申し上しに、その帯鉤の形が、石帯にいる事故也と仰られしほどに、内経已来、難経の鉤脈の処の諸註おそへて、書て差上ぐ、