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続古事談
五諸道
後朱雀院かさおやみ給けるに、典薬頭相成、よろしく成給へり、水とヾむべきよし申けるお、雅忠、いまだわかヽりけるが、みたてまつりて、この御瘡、いつ水とヾむべしともみえずと申けり、其後、嵯峨の滝殿の阿闍梨重源と雲ものは、重秀が孫なり、それお召てみせ給ければ、雅忠が申やうに申てまかりいづとて、故資仲、帥の五位蔵人なりけるにあひて、この御瘡、いつ愈給べしと雲事みえず、雅忠心えたる医師也、明日御胸やみ給ば、大事なるべしと申けり、まことに御胸やみてうせ給ひにけり、かさやむ人、胸やむはおはりの事也となむ、○按ずるに重癰に水お灌ぎて之お治する事は、外科治療条にもあり、