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大和本草
三金玉土石
温石
山東通志曰、出掖県色兼青白、潤膩如玉、味甘無毒、可備薬物、日本に温石と雲物あり、白くして少青し、やはらかなり、是山東通志にしるせる中華〈の〉温石と同物なるべし、冬は弓の弦折れ易し、温石の末お指につけ、弦おしごくに柔靭なる事夏月の如し、是温石の性熱なる事可知、他石の末お用れば不然、温石焼て塩水おそヽぎ、布に包み痛処お熨すに猶よし、又腹中の積滞お散ず、焼て温熱おとらんためには、他の堅石も可也、されども、温石のよきはしからず、本草綱目に温石おのせず、然れども古磚おやく事あり、是亦温石なり、証類本草雲、久患下部冷久痢腹傷下白膿焼塼并温石熨及坐之並差、但取堅石焼暖用之、非別有温石也、今按、諸本草に、日本所産の温石お不載、