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奇魂

医薬名義〈并医薬変化附本道弁〉
病お愈す動植お くすり( ○○○) と雲、原義は 令和( なぐし) の意也、其は神お 和( なご) し、人お 和( なご) め、風の 和( なぎ) 、波の 和( なぎ) などの和にて、其詞の活用は、自のかたは、ながん、なぎ、なぐ、なげにて、体言になればなぎなり、物お然するかたは 和( なぐ) さん、なぐし、なぐす、なぐせにて、体言になれば、なぐし也、名越祓と雲も〈こ、く、音通、〉神お和し奉る也、〈夏お越と雲は俗説なり〉拾遺集に、さばへなすあらぶる神もおしなべてけふはなごしのはらへなりけり、とある類にて、病お 令和( なごむ) るおも、動植にまれ、法術にまれ、何にても泛くなぐしといへり見えたり、〈○中略〉記紀〈○註略〉共に記せる応神天皇の御歌に 須々許理賀( すヽこりが) 、 迦美斯美岐邇( かみしみきに) 、 和礼恵比邇祁理( われえひにぐり) 、 許登那具志( ことなぐし) 、 恵具志爾( えぐしに) 、 和礼恵比爾祁理( わしえひにけり) 、〈○註略〉とある、この具志も、事和薬、咲薬と雲意にて、事和薬咲薬なる薬酒に酔けりと詔玉へる也、