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奇魂

薬方〈○中略〉
彼〈○漢土〉も、いと古は病あれば神に祈り、あるは移精変気などいひて、此の禁厭の如きわざおし、はた内経などお見るに、主と鍼して、万病お治て、薬のむわざはいと希也けるお、漢の比、仲景などよりぞ、専ら薬お飲するわざと成にける、是に因て、後世、〓に方の出来し也、今此の人〈○日本人〉の仮初の病にも薬するは、彼の風に化たる也、さて漢のは、其薬は、其経に入など虚言しつゝ、許多の品お配合めるは誤也、又一品一能もて配合法に拘らぬも偏也、神代すら、さばかり法の有しにはあらずや、