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府内備考
四十一小石川
御薬園
御薬園は、白山御殿の旧地なり、初完永十五年戊寅、麻布、大塚の両所に、御薬園おひらかれ、元禄の頃、大塚の御薬園は、麻布へうつされしが、其後又此処に移され、其あづかりは、麻布より引つゞきて、芥川小野寺なり、今は芥川、岡田の両人にてまもれり、芥川の御預地弐万二千五百五十八坪、岡田の御預り二万千六百四十二坪といふ、〈改選江戸志〉当御薬園二区に分れて、中間一条の往来あり、則南の方は岡田左門〈利左衛門の子孫なり〉の御預りにて、御役宅その内にあり、又此内に、施薬院〈養生所ともいふ〉お建置る事は下に記す、北の方は、芥川小野寺御預なり、此御役宅は、小路お隔て、西の方にあり、案に、白山御殿お癈せられしは正徳三年の事といへり、御薬園と成しは、それより後に始りしならむ、