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本朝医談
源氏物語、月頃ふびやうのおもければ、極熱の草薬お服と、大和本草、蒜、夏月食之、解暑毒故といふは、うけがたし、本文は、草の性熱なる事おいふなり、蒜薤の類は、下利お治する物なり、されば、ふびようははら下る事にて、腹病の文字也、古人病ありて、療養の為に、これ等葷物お食する内、毒忌の日数あり、これお名けて 蒜間葱間韮間( ひるまねきまにらま) などいふ、故に、歌にもよめり、源氏、さゝがにのふるまひしるき夕暮にひるますぐせといふがあやなき、逢事のよおしへだつる中ならばひるまも何かまばゆからまし、