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重修本草綱目啓蒙
九芳草
甘松香 一名麝男〈輟耕録〉
略して甘松と雲、和産なし、漢渡に二品あり、 蝦様( えびで) の甘松と呼ぶは根なり、形長く微しくゆがみて、
一頭に鬚多く蝦形の如し、此お上品とし、薬用に入る、又葉甘松と呼は、蘆頭に苗の本一寸許お連ねて切りて根はなし、その形薹 すげ の蘆頭に似て香気多し、是は香囊の用に入る、薬に入れず、世人 春のおみなめし( ○○○○○○○) お、和の甘松とするは誤りなり、其草は一名かのこそう、野がんせう、さくらがは草とも雲、雌雄あり、雌の方は草小し、深山に多し、雄は大なり、共に甘松に非ず、 敗醤( おみなめし) の一種なり、